コンフォートゾーン なんて、ぶっ壊せ!
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2021年9月Global Online MBAに入学された松下さんが、半年経って2回のResidential Weekを終えての感想を教えてくださいました。
入学後、仕事、MBA、家族との時間はどう変わったか
まず日々インプット、アウトプットする情報の絶対量が増えたのは間違いないです。特に今の環境は、北米(上司)・日本(顧客)・欧州(MBA)に各関係者がまたがっており、グローバルに働くというと聞こえは良いですが、24時間常に何かが動いています。また、日々のステークホルダーが増えると色んな人が色んなことを言う(5歳の息子を筆頭に)ので、半年経った今も苦労の連続です。特にMBAでは、今期から代表委員として、同じクラスの学生21名を代表して教授やIEスタッフと授業の進め方等の議論・交渉を行う機会も増えました。様々な利害関係を意識しながらも、自分流のリーダーシップを発揮できるか? そこが面白くもあり、いつも最後まで考えている部分です。
また、4月前半にマドリードでの2回目のResidential Weekを過ごしてきました。朝から夕方までみっちり授業、その後深夜までクラスメートと過ごす毎日は、昨年10月にあった初回Residential Week以降、ずっと楽しみにしていた時間ですが、毎日の課外活動と並行して予習やグループワークもあるので、体力・精神的にも正直かなり大変でした。そんな状況を見据えてか、週の終盤を迎えたところで、ある教授が「この極限状態で、どこまで一つ一つのことに妥協せずやり遂げるか。それ自体、皆が将来、経営幹部になっていく上で、試されている時間なんだ」という話をしてくれて、すごく納得できましたね。
Why IE / Why MBAの原点に返る教授の言葉
「君たちは子供みたいに成績ばかり気にして、成熟した大人として本当のLearningをする準備ができているのかね?」
ただ、人間の本能なのか、自らの選択で厳しい環境に身を置いても「どうしたら少しでも楽をして過ごせるか?」というのを無意識に考えてしまうんですね。学びを最大化するための効率性追求は良いとしても、「目の前に挑戦機会があるのに、無難な着地点を狙うことが優先になってないか?」― こんな問いを最近ファイナンスの授業で、自分に投げかける機会がありました。
クラスの大半は、グローバルリーダーとして成長したいから、これだけ日々のコミットメント、クラス全体のエンゲージメントが求められるIEのPart-time MBAを敢えて選んで来たはず。だけど現実的には、まず成績評価から逆算し、課題量の期待値コントロールを各教授と行うという、非本質的な議論がいつの間にかクラス全体で習慣化してしまっていました。特にファイナンス系は自分も含め苦手意識を持つ学生が多く葛藤もありましたが、それを一蹴して初心を思い出させてくれたのが、HBS出身でもある先のJulio教授の言葉でした。(とは言え、毎日課題に追われる身としては、やはりこの種の調整は、これはこれで死活的なテーマだったことも事実です)
“コンフォートゾーン”が見えた自分を変えたい
--自分なりのリーダーシップ像を描く
純粋な学びという原点に立ち返ると、仕事でもMBAでも“唯一の日本人”という環境で臨む自分にとって一番重要なことは「グローバルリーダーになるための自己成長」だと思います。今の仕事では、言語障壁で守られている日本市場の中ではある程度、個人の存在感を出せている一方、グローバル組織の中での競争となると、思い描くレベルでは価値を発揮できない。
そんな歯痒い想いを抱えながらも、仕事とMBAの両立も最低限の結果は出ていて、Term1終盤には「こんな感じで、来年の卒業まで無難にクリアできそうかな」とか、コンフォートゾーンに少し入りかけた自分もいました。でも、心の中ではずっと現状を変えたい自分がいたのだと思います。ちょうどこの時期、IMBA(IEのフルタイムMBA)で当初は同時期に留学予定だった友人達が帰国して一緒に東京でゆっくり話す機会がありました。自分の信念に従って、リスクテイクしながらも道なき道を進み続ける彼らの姿は良い刺激になりましたね。それで、何となく翌日に出した答えが「失敗しても良いから、代表委員)になってみようかな」だったんです。
その後、他にも立候補予定者がいることが分かり、自分の立候補で軋轢を生むことに悩んだ時間もあったのですが、そんな時も支えてくれたのはクラスメートの存在でした。「Hughは強引に引っ張るタイプではないけど、いつも一人一人が何をしたいか考えて自然体で周りに働きかけてる。日本人の特性なのか分からないけど、こんな物腰柔らかなリーダーは自分の人生でも初めて出会ったよ。普段通りのHughでいるだけで良いから、代表委員をやってみなよ!」と、特に仲の良い友人数名が真剣に語ってくれたんです。こんな深いレベルで自分を理解してくれてる人達と出会えたことが純粋に嬉しすぎて、一緒に食事していたマドリードの焼肉屋で泣きそうになりました。
結果的には、Residential Week最終日にクラス全員で公開投票が行われ自分が代表に選ばれました。責任も増しましたが「グローバルの中でも自分流のリーダーシップスタイルに自信を持って良いんだ」と思えた大きな転換点になってます。ちなみに、偶々この週の授業では「Introvert(内向性)とExtrovert(外向性)、どちらがリーダーとして適しているか」というケース議論があり、科学的にもIntrovert型の方が、実は成功事例が多いという研究もあり、非常に興味深いものとなりました。
Online MBAでの人間関係構築
GMBAは、半年毎に欧州で集まる期間以外はオンライン中心のコミュニケーションになるため、お互いの人間関係構築は一つの大きなテーマになります。ただ全ては「やり方」と「本気度」次第かと思っています。例えば、今回マドリードに滞在した10日間でGlobal Online MBAの仲間と飲みにいった回数を数えると、15回以上でした!また、多様なバックグラウンドの学生が集まる環境なので、「バイアスを排除して、相手の価値観を丁寧に理解していく気構え」や「まず自分を心を開き、相手の心も開いてもらう技術」等は心掛けています。言葉でいう程簡単ではないですが、身近な実践として「“相手の関心”に関心を持ち質問を掘り下げる」「クラスの雰囲気を和ませるため、時にはいじられキャラを演じてみる」等、細かい日々の積み重ねが相手との距離を縮める唯一の手段だと思います。クラスにはLGBTの仲間もいれば、ウクライナにルーツを持つ友人もいます。交友関係が深まれるに連れデリケートな会話も増えて来ますが、心理的安全性を自分から少しずつでも築いて行くのが自然体でリーダーシップを取るための近道かなとも感じます。
基本の「キャッチボール」を大事にする
また優先順位という意味では、どんなに課題が忙しい時でも異文化コミュニケーションだからこそ「ヒトに関わること」を最優先にしています。Term1の途中、グループワークで悩んでる一人のクラスメートから個別フィードバックの相談を受けたことがありました。この時も、最終的に数時間かけて本人限定のOne Pager文書にして渡しました。本人にとって耳の痛いアドバイスも含んでいたので、内心は結構ハラハラしていたのですが、すごく喜んでくれて、その後、相手の行動に変化が現れるのを見て、渡して良かったと思いました。
異文化コミュニケーションって、基本の「キャッチボール」を徹底することが一番大事だと思っています。相手がボールを受け取れないと、どんなに優れた知識やスキルも成果には繋がらないケースも多く見てきました。だから、自分はどんなボールが来てもまずキャッチする。それを相手が受け取れるように投げ返す。その上で、相手の価値観を最大限大切にしながら、全体を見て必要ならば、言うべきことは必ず透明性を持って伝える。このやり方を貫いていることは、自分のリーダーシップスタイルとして、周囲から信頼を得られた部分かなと思います。
現実問題として、これらをオンラインだけでできるか?と言われると、簡単ではないと思います。私の場合は幸運にも毎回コロナの影響が少ない時期に渡欧でき、寝食を共にする濃密な時間を2回経験した関係基盤があることで、今はZoomでもWhatsAppでも以心伝心でメンバの多くと意思疎通できる自信があります。ただこの辺りは、コロナで難しい状況の中で、IE側も学生側の状況を理解した最大限のサポートはしてくれています。先日も、より良いGlobal Online MBAでの経験とは何かを巡って、マドリードのIEスタッフと侃侃諤諤の議論をしましたが、お互いに「全て完璧なものはない」という前提に立ち、学生側とIEで一緒に新しい学びの歴史を創っているんだ、という想いで日々臨んでます。
昨日の自分より、日々前進できているかを問う
今回マドリードで受けたリーダーシップ系のクラスの中で、“Lead like no one is watching” という言葉がありました。教授が突然 「リーダーは、時には誰も自分のことなんて見てないと思って、思いっきり皆の前で馬鹿な踊りしてみなさい」と。それから、本当に皆でクレイジーなダンスをしたんですが、日々のコンフォートゾーンを破るって、こんな感じの連続かなと思っています。実は自分も昔は変なプライドが邪魔して、こういうの苦手だったのですが、IEのお陰か今は自然体でできるようになってきました。
Global Online MBAではPart-timeながら、本当に毎日が「昨日の自分を超えるための挑戦」に溢れてます。どこまで何を追求していくかは本人次第で、一人一人のMBAの形があると思ってますが、私自身は本当にこのプログラムで「最高の仲間」と「最高の学び」の両方を得ています。もし、この記事を読んでいる方で、「たかが片手間のPart-timeでしょ?」と思っている方がいれば、是非そんな方こそ、一度こんな稀有な“Part-time MBA”もあるんだと興味を持ってもらえれば、新しい景色が見えて来るかも知れません!次は5月にIE主催のラウンドテーブルで世界中のCandidateと対話したり、7月Global Immersion Weekでベルリンを訪れるので、また新たなエピソードをお伝えできるのを楽しみにしてます。