帰国後:座学では得られない経験
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2018年12月に卒業した日本人学生のうち3人と、1年間の収穫と今後の展望について話しました。
MBA留学1年間の収穫
森さん: 3つあって、
- 最近言われるグローバル人材と最新のビジネストレンへの理解が得られた
- 自己認識。自分がどういう位置にいるのかと強み・弱みが客観的に分かった
- 長い人生のうちの1年間、様々な経験をして遊ぶ、人生のスパイスとしての要素
1つ目のグローバル人材と最新のビシネストレンドは、最先端のトレンドを汲んだ教授陣の授業を直接受けるのは、MBAでないとできないことでした。トレンドは日本にいてカンファレスに出てもわかるかもしれないですが、当事者たちと直接話して質問できるのはMBAならでは。いつか陳腐化するかもしれないですが、当事者からビジネスのトレンドを知るのは大きなことだと自分は思います。
2つ目は、同期からの学び。本当に優秀な人は、どういう意味で優秀なのか。勉強ができるのか、他人を巻き込む力が強いのか、誰にもない特性があるのか。色んな視点があると思うので、それを座学や普段の生活、課外活動で学ぶのはMBAでしか得られない経験でした。選ばれた人たちが、1年という時間を投資して勉強や課外活動に尽力するエネルギーから生まれるもの、得られるものは甚大でした。
”本で勉強すればMBAなんていらないっていう人もたくさんいると思うんです。でも、学業面以外はビジネススクールに行かないとわからないことなんですよね。多国籍の環境下で、グループワークや、どうやって上手く話を持っていき人を巻き込むのか、普段の生活でどうやっていい印象を与えられるのか。そういう日々の経験を通じ、周りから学習し、自分を再認識することは非常に有意義だったと思います。
3つ目は、新卒で就職してからずっと働いて定年を迎えて人生が終わるのは悲しい。MBAで日本にいたら繋がりがないような世界中の人たちと仲良くなれて、人生の楽しみという意味で良かったなと思っています。純粋に楽しいことだと思う。
市川さん: 日本人だけ見てもすごく幅のあるネットワークができた。僕、個人的には、新卒就職をしていないので、新卒の同期っていうのがいなくて、そういうのに憧れてたんです。ここで遂に7人の素晴らしい(日本人)同級生ができて。毎日、気軽なことから深刻な話まで、ライングループに投げて話ができる関係の友人ができた。皆、自分と全然バックグラウンドが違う人だけど、共通したものを持っている、本当に大事な財産だと思います。
自分の根本的なことは全然変わっていませんが、自分が何をしたいのか、人と比べた時にどういうところが得意で苦手なのか。体験の中から改めて感じるいい機会になりました。留学当初は、海外就職、グローバル企業、いろんな選択肢を持っていましたが、ビジネススクールには大企業の幹部になる素養に恵まれた人がたくさんいることがわかりました。プレゼンは上手だし、資料もサクサク作成できるし、目の前の仕事をとにかく可能な限り高い品質でする人が大勢いるとわかって、自分はこの人達と勝負しない方がいいと思いました。
だから、今は、自分でビジネス立ち上げるか、すごく小さな組織のゼロイチのところを他の人と一緒に作ることを自分の進路にしようと決めて動くようになりました。そういう見極めの体験ができたところが、良かったと思っています。
中村さん: 僕は、自己認識を高めて僕なりのスタイルを確立できたのが良かったです。トップスクールで、マネジメントスキルやグローバルリーダーシップを学ぼうと思って入学しましたが、結局、自分の好きなことをした1年間でした。面白いことをしたい、人を笑わせたい、楽しませたい。料理を作ったり、美味しいものを提供したり、コスプレして人と一緒にワイワイ騒いだり、そんな好きなことを通じて周囲とのコミュニケーションを取ってリーダーシップをとって行く。それが、Don Buriという形になりました。この経験を通じて、僕のスタイル、「したいことをとことんする力」と「その情熱や信念で周りを巻き込める力」が明確に認識できました。海外でも自分の得意なところは通用するし、そこが自身の強みだとわかりました。
もう1つの収穫は、日本人同期。彼らは、座学も大好きでよく勉強していて、ロジカルシンキングを得意としています。加えて、行動力もあって知的好奇心で勉強していくことが自然とできるんです。皆エネルギッシュだし、情報の取り方、勉強の仕方、自己研鑽方法、いろいろな点でこれまでに出会ったことのない人たちでした。そういう人たちとIEで知り合いになれたのは大きかったです。良い大学出て、会社から与えられたことの中で自己成長できれば良いと思わない人たちと繋がっていると、僕も刺激を受けられる、一生の宝です。
MBA卒業、そしてこれから
森さん: 今は就活中で、まずは仕事を見つけるのが目標です。ただ、起業したいという思いがまだあるので、今度は1人じゃなくチームを作ってスケールとインパクトが出る事業がしたいです。もちろん仕事を探しつつ、今後成長する産業で働いてから、また自分のビジネスをしたいです。同時に夏のインターンをした関係で本を書こうという話があって、中山さんっていう、今ブラジルで働いている卒業生の方と、ベンチャーキャピタルの本をチョコチョコ書いています。ダメだったら自費出版で出そうかなっていう話を進めています。
中村さん: 僕は元の会社に戻ります。留学でしてきたことも、起業への思いも、キャリアへの考え方も全て、会社の人事部と所属部署に報告しています。僕、辞めたいと思ってるとか、ここが自分の本拠地じゃないと思ってるとか。でも、僕がなぜ、この会社が好きで固執しているかと言うと、人が良いんです。人事に副業したいから、会社が社員のしていることを応援する仕組みとか、ワークライフバランスの一環みたいな形として、副業規定を変えて欲しいと話しています。Don Buriへの投資は、投資家にもう一度プレゼンする話になっているのをネタにしながら副業規定を変える、人事も承諾する方向で動いてくれています。僕自身ももう一個したいことがあるので、日本でも会社を作るのが目下したいことです。
市川さん: 今日、なぜ一眼レフを持って来ているかというと、銀座にシェフのワーキングスペースができて、そこに僕の友達のシェフが1月から入居するんですよ。僕の事業の第一弾として、彼のプロデュースとブランディングを一緒にやろうと思っています。彼が、肉を仕入れている神奈川の店に一緒に行って料理の写真とかを撮って素材として使おうかと。そういうタネをまいて、これだったら頑張れるなっていうのをStartup Labの経験を通じてしていこうかって感じですね。