コンサルからスタートアップのCFOへ
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IEを2013年に卒業し、現在物流ソリューションを提供するスタートアップ、株式会社HACOBUのCFOとしてご活躍の濱崎さん。今回はオフィスにお邪魔してお話を伺いました。
Why MBA? Why IE?
大学時代にもう少しちゃんと勉強すれば良かったという気持ちがあり、折角なら実業に役立つ勉強が良いと思ってMBA留学を考えました。IEを選んだのは、グローバルにビジネスを展開する基礎力を作りたかったのと、当時からスタートアップに興味があったからです。
スタートアップに転職して
2013年に帰国後にA.T.カーニーに入社し、3年弱働きました。その時、たまたま今の会社にご縁があり、CFOとして資金調達活動とか管理部門の業務を担当しています。他にも営業として外に出たり、最近は開発チームを経営者の立場からサポートしたりもしています。
――今の会社の業務を教えてください。まずは、HACOBUの説明をして頂けますか?
HACOBUはMOVOというサービスを提供しています。MoveとOptimization、「運ぶ」を「最適化する」という造語なんです。具体的には、物流向けのクラウドソリューション。業務用のクラウドワークスアプリケーションを作って、企業間物流に特化しているのが特徴です。
物流というと宅配便をイメージされる方が多いですが、市場規模は宅配が3兆円で企業間物流が10兆円と言われているんです。かつ、中小企業が多く最適化が進んでいないので、デジタル化を進めないと、ドライバーの高齢化や人員不足という問題が生じます。あと、ECの浸透で配送頻度が上がったり、配送品質に対する要求が上がったり、多様な問題があって、このままだと立ち行かなくなると可能性があります。
それに対し、物流向けソリューションは大手のシステムベンダーが大手企業向けにカスタマイズして作るものか、中小向けに個別の機能に細分化されたものしかなくて、配送に関する業務全体をオンラインで管理できる、誰でも使えるツールがなかなかなかったんです。それをSaaSで提供し、大手から中小までネットワークを繋ぎ、デジタル化をサポートしています。デジタル化が進むと、データが溜まって更なる最適化が出来るようにもなります。
――どんなアプリなんですか?
アプリは大きく分けて3つあります。1つ目は「求車」という荷物とトラックをマッチングさせるサービス。2つ目は「動体管理」というトラックの位置をGPSで把握するもの。3つ目は「パース管理」という倉庫でトラックをつけて荷物の積み下ろしをする場所のスケジューリングをして、倉庫前にトラックが待機しなくて良くなる仕組み。今はアプリを売りながら、将来的には企業間物流のデータ、デジタル基盤を作りたいと思っています。
――配送業社さんが顧客ということですか?
アプリによって違いますが、物流に関わる企業全てが顧客になり得ます。たとえば、倉庫を管理している物流会社は荷主から委託を受けていて、ドライバーが不足しないようにオペレーションを最適化したいというニーズを持っています。荷主もドライバーが長時間待機させられて搬入できないと長時間労働が問題になって困るし、サプライチェーンの観点からも悪影響があるので、最適化に興味があります。また、物流会社から更に配送を受託する物流会社の多段下請け、全ての関連企業にとっても今まで妥当な値段で高機能な業務システムが少なかったのでニーズはあります。
物流情報プラットフォームを作りたい
今後の目標は、企業間物流の世界の最適化を実現するために物流情報プラットフォームを作ることです。現状、下請け企業では全部紙や電話といったアナログな手段でやりとりされているんです。それをデジタル化することで、社会インフラがこれからも維持、強化されていくようにしたいです。日本だけでなく、グローバルに展開していくような組織にするのがゴールですね。
グローバルプロジェクトへの抵抗がなくなった
IEでの経験が役立っているのは、グローバルなプロジェクトに抵抗がなくなったことです。コンサル時代、語学力だけではなく、多様なバックグラウンドの人と一緒に働くことに抵抗がなくなったことが大きかったです。今の会社はまだ国内中心ですが、海外のスタートアップと会話することもあって、そういう時に今後も役に立っていくと思います。
僕はどちらかと言うと内向的な性格ですが、今の仕事はいろいろな人といろいろなことで関わって、いろいろな意思決定をしなきゃいけないんです。今振り返ると、IEで多様性のある環境にどっぷり1年浸かって免疫が付いたというか、多様性の中で存在感を発揮して、意思決定していく、貴重な経験ができました。そういう意味で、良くできたプログラムだなと思います。