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起業コンテスト決勝進出までの道 | IE University Japanese Alumni Chapter
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起業コンテスト決勝進出までの道

Jan 09 2019

起業コンテスト決勝進出までの道

 

2018年1月入学、International MBAプログラムの中村です。2018年11月のVenture Day(IE修士生の起業コンテスト)にFinalistとして登壇しました。Startup Lab終了後からVenture Day Finalまでの道程を書かせて頂きます。先にStartup Lab体験記の記事を読んで頂けると幸いです。

 

中村さん
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    Startup Lab後、夏休み中の準備

    7月末にStartup Labを終えた後、お世話になった方々に結果報告と継続的なサポートの依頼をしました。そして、マドリードにある日本食レストランの日本人シェフTさんが、Don Buriプロジェクトに参加してくれることになりました。

     

    また、マドリードでJapan Weekendという日本の漫画、アニメ、ゲームを始めとするポップカルチャー好きの人が集まるイベントが9月末に行われると知り、Don Buriを出店したいと考えました。Tさんの伝手で日本食の卸売業者2社と面談し、イベントに向けて調理場所の提供や協賛を依頼しました。さらに、Don Buriのスペインでの会社登記、商標登録の話を弁護士と進めました。 

     

     

    最終学期のStartupプロジェクト

    9月から卒業まで約3ヶ月間の最終学期(Elective Period)には、アントレの授業の他にVenture LabとKnowledge IncubatorというStartupプロジェクトに特化した授業があります。担当は名物教授のParis。クラス内で5人以内のチームを組んでビジネスプランを練り、選考会を突破するとVenture Dayで20人以上の投資家相手にプレゼンでき、実際の投資に繋がることもあります。各チームには起業家として経験が豊富なメンターが付きます。2つの授業の違いは以下の通り。

     

    Venture Lab
    • 選抜あり(12チームを選抜する) 
    • ワークショップ型(指導教授のParisが不定期で呼ぶ投資家や起業家の集まりに参加し、彼らにアイデアを相談できる)
    • 30単位

     

    Knowledge Incubator
    • Venture Labの選考に漏れたチームや新たにアイデアやチームを作る初期段階の人用
    • 選抜なし
    • 講義形式(ゲストスピーカーやParisが講義する)
    • 20単位

     

    Don Buriは残念ながらVenture Labの選抜に落ちました。Startup Labで良い結果が出ていたので悔しくてParisに直談判しましたが、結果は変わらず。チームで話し合い「Don Buriは続けてKnowledge Incubatorクラスを受講しよう。Venture Dayに出れなくてもDon Buriのアイデアを形にするために起業に向けて自分達の信じることをやろう」と決めました。

     

     

     

    日本の漫画・アニメブーム

    世界各国で日本の漫画やアニメやゲームが流行っていることは、ご存知の方も多いと思います。漫画とアニメの欧州市場は約3000億円。年間15%で伸長しています。スペインで開催されるJapan Weekendはスペイン各地で年間12回開催され、2018年9月29日と30日の二日間Madridで開かれたものは、来場者数が7万人でした。

     

    Don Buriの出店計画は、手続きが間に合わずに断念。代わりにチラシを作り、会場にコスプレをして一般客として参加。Don Buri宣伝のチラシを配布し、来場者とコミュニケーションをとりました。多くの来場者から写真撮影を依頼され、カップ麺やカレーライスを販売している露店に長蛇の列ができているのを見て「Don Buri+日本のポップカルチャーでいける!」という確信が深まりました。

     

     

    日本食レストランとのコラボ

    Venture LabとKnowledge Incubatorのクラスでは、自分達の提供する商品やサービスを実際に運用して検証をしていくというプロセスである、Manual Simulationが要求されます。Startup Labでも市場調査をして仮説検証することが要求されましたが、Manual Simulationでは商品やサービスを作り込むことに加えて顧客との連携まで課せられます。

     

    10月に入り、Don Buriも具体的なManual Simulation手段が必要となり、日本人シェフのチームメンバーTさんの提案でマドリードにあるYan Ken Ponという日本食レストランとのコラボすることになりました。Yan Ken Ponは、日本人シェフのAkiさんと、妻Twiggyさんの二人が経営する寿司とラーメンレストランです。Yan Ken PonでのDon Buriの期間限定販売(11月6日から23日)に向けて新メニューの開発、食材の仕入れ、宣伝グッズの製作やお店のコンセプト作り、販促方法などを詰めていきました。

     

    また、Startup Lab時にもお世話になった日本人デザイナーに、ポスター、メニュー表、景品等のデザインを無償で作ってもらえることになりました。さらに、漫画ショップや日本食材店へ足を運び、ポスターの設置をお願いし、週末はYan Ken Pon店舗周辺でのビラを撒き、各種SNSにも販促広告を出しました。

     

    結果、期間内の来店客数は15%上昇し、味・量・価格で総合90%以上の人から高評価。アニメ・漫画を使った店作りは80%以上の人から高評価を得ました。一方、既存店舗とのコラボだったため固定客へのDon Buri紹介が中心になったこと、既存メニューとの共喰いやコンセプトの曖昧さ、実施期間の短さからターゲット層へのアクセス不足、販促でバズらせられなかったことなど、反省点も多々ありました。

     

     

     

    Venture Day Semi-Finalへ

    多くの方の協力のもと、Don BuriのManual Simulationは成果を得られ、Venture Day Finalに向けた選考会、Semi-Finalに参加しました。Semi-finalにはMBAからだけでなく、IEの他の修士課程からもたくさんのチームが参加し、総勢60チーム以上がParisおよび選考委員である4名の投資家の前で7分間のプレゼンをしました。

     

    お店でDon Buriを販売していた時のように、アニメキャラクターのコスチュームを着用し、プレゼンでも普段通り我々の思いを伝えることができました。選考員の方々に試食してもらい、美味しいと言って頂きました。日本人からすると、コスプレして日本食を提供するだけに映るかもしれませんが、MBA留学を通じて、「自分の価値観で当然と思えることも環境が変われば大きな価値になる」ということを学びました。自社の提供商品に様々な状況に応じた客観評価ができるかが、ビジネスチャンスを掴めるか否かの重要なカギであると感じました。

     

    Semi-finalではParisを含め、複数の選考委員から高評価を得たと、後でParisから総評を受けました。Venture Labの選考に落ち、一度は諦めたVenture Day finalですが、自分達の信念を貫き通し、最終的にはVenture Day Finalへの切符を手にすることができました。

     

     

    Venture Day Final

    Semi-finalの結果発表後、Finalまでの10日弱、多くのFinalist達はプレゼン内容の調整に時間を費やしていましたが、我々はYan Ken PonでのDon Buri販売があるため、顧客から店頭で感想を得ることに務めました。

     

    また、Don Buriのコンセプトは「美味しくて安い日本食を多くの人に届けたい」というもの。Venture Dayには、IE内外から300人以上の人が訪れる折角の機会なので、当日の会場でDon Buriを食べやすい形で提供する許可を得ました。当日の審査員の評価が変わるわけでもなく、大事なプレゼン前に余計な仕事を増やすだけとも言えますが、自分達の思いを大事にして実施することにしました。

     

    Venture Day前日には日本人シェフのTさんも駆け付けてくれ、Yan Ken Ponのメンバーと特製Don Buriを3種類、小ぶりな皿に400食ほど用意しました。当日のプレゼンも、Yan Ken PonメンバーとTさんが参加してくれ、Don Buriメンバー総出で、これまでずっと取り組んできたこと、思いを全力で出し切りました。残念ながら優勝は逃しましたが、Don Buriの提供からプレゼンまで悔いのない取り組みができました。

     

     

     

    Venture Dayでの学び

    アントレのクラスから8ヶ月間Don BuriというStartupプロジェクトに取り組み、9月のKnowledge Incubatorの授業から新たに参加してくれた日本人のMさんを加え、5人のIEメンバーでVenture Dayまでやり抜きました。Venture Dayでの更なる学びは、

     

    リーダー、マネジャー、プレイヤーは両立できない

    Manual Simulationを始める頃には全てを1人で抱え込み、パンク状態になりました。やる気が低下したメンバーもいて、全てを上手く回せないのは自分のせいではないかと、Knowledge Incubatorの授業にゲストスピーカーとして来た某起業家にアドバイスを求めたところ、

     

    3つの両立は誰もできない。君はリーダーとしてビジョンを語り、周囲を巻き込めば、投資家がお金を出してくれる。そのお金でコンサルから最強のマネジャーを雇えばいい。弱みの改善を行う姿勢は重要だが、君が他の人と差別化できることに注力するのがあるべき姿だよ。

     

    と、言われました。肩の荷が降り、コンサル出身の日本人メンバーMさんにプロジェクト管理をお願いし、私はリーダーとして外商活動を主に行うことにしました。

     

    起業メンバーに求める三要素

    数少ない共同創業者は、ビジョンが同じ、働き方が似ている、必要な能力があることが重要だと思いました。例えば、フィリピン人メンバーは常に売上と利益を真っ先に考える人でした。Venture Day当日にDon Buriを提供する際、お金を取るべきだと考える彼と、イベントに来る方々にまず試してもらう、楽しんでもらうことが大事だから当然無料と考える私ではビジョンが大きく違い、一緒に起業するのは難しいなと感じました。

     

    働き方では、作業を開始するタイミングと、どのくらいの出来をゴールとするかは人によって大きく違うと気付きました。私は段取りや準備にかなりの時間を使い、当日の即興など不確定要素を少なくしようとする傾向がありますが、それは当たり前ではないと感じました。起業は0→1のプロセスであり、数人しかいない共同経営者と足並みを揃えて役割分担できなければ、達成は相当難しくなると思います。

     

    信念を貫く

    多くのチームが、アントレの授業、Startup Lab, Venture Lab, Knowledge IncubatorでStartupのプロジェクトを進める中、誰かに否定されてアイデアを変更したり、チームが機能しなくなったり、情熱を失ったりしていくチームをたくさん見ました。

     

    Don Buriも、9月頃までは指導教授のParisに全く好かれていませんでした。でも、我々は「投資家や教授の好みなんて関係ない。自分達の信じる道を行こう。うまくて安い日本食と日本の漫画やアニメの需要は絶対にある」という確固たる信念を持って突き進みました。その思いが自分達の行動力に繋がり、熱い思いが周囲の心を動かし、たくさんの支援を得て行きました。

     

    Venture Day終了後、Parisから「これまで長い間教えてきたが、お前ほど情熱がある奴は見たことがない。Don Buriもお前のことも、絶対に忘れない」と、言われました。IEのStartupプログラムで最も大きな気付きとなったのは「何事もやるか、やらないか。そして、やり抜けるか」ということです。これが全てを決めると体感しました。

     

     

    Don Buriと私の今後

    Don Buriは日本人シェフのTさんを中心に、Don BuriメンバーのIさんの助けも借りながら、2019年も継続して出店に向けた準備をしています。ありがたいことに我々のプロジェクトと私を買ってくれる投資家がおり、彼らと連携してクラウドファンデイングも実施し、店作りをしていきます。また、私自身も日本で起業したい案件があるので、その立ち上げに向けて先述の日本人デザイナーの方とコンセプト作りをしています。

     

    私は社費生で会社勤めも続けますが、政府が2018年に副業解禁したのを皮切りに、新しい考えや働き方を提案し、会社・社会に貢献するために自身の目標をしっかり持って突き進みたいです。

     

    長文になってしまいましたが、ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。最後に、改めてお世話になった教授、メンター、投資家、IMBAスタッフ、知人、友人、シェフ、Yan Ken Pon、日本人コミュニティの皆様、デザイナー、販促会社、日本食材店、Don Buriチームメンバー、応援して下さった派遣元企業の人事部の皆様、そして家族に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

     

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