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気候変動問題におけるダンスの役割
2021年1月入学(International MBAとMaster in International DevelopmentのDual Degree)の在校生Yokoさんのブログ記事より、気候変動問題にダンスがどう役立つか、転載させていただきます。Yokoさんは、マドリードのIE学生クラブと協力して、今後数ヶ月のうちに別のイベントを開催予定だそうです。Yokoさんのブログも是非ご覧になってください。
美しいバレエショーを見て、別世界に連れて行ってもらった経験はありませんか?あるいは、外国を旅していて、地元のコミュニティに溶け込むのが難しいと感じたのに、数ショットのテキーラの後、いつの間にかそのバーの常連さんと踊っていたことはありませんか?ダンスは人と人とのつながり、特に異文化や異言語間のつながりを形成するためのツールとして、人類にとって常に重要な役割を果たしてきました。
私たちは現在、史上最大の地球規模の課題である気候の危機に直面しています。気候危機は一国だけで解決できるものではありませんが、国際社会では、気候危機の現実は住んでいる場所によって異なることもあり、協調体制が不足しているように感じます。気候変動の影響に遭遇する可能性は、マドリード、ニューヨーク、東京、ロンドンに住んでいる場合、インドネシア、モルディブ、グアテマラに住んでいる人よりも低いです。現在、地球の陸地の1%は人が居住不可能なホットゾーンとなっており、これは2070年までに19%にまで上昇する可能性があります※1。
世界のさまざまな地域間の協力とコミュニケーションがこれまで以上に必要とされています。地球規模の問題に取り組むためにパリ協定のようなハイレベルな政治的議論が必要なのと同様に、ダンスや音楽のようなアートが言語を介さずとも人々を結びつけ、つながりを形成し、個々の情熱や問題の視点を共有するための解決策の一部として必要とされています。オックスフォード大学の心理学者ブロンウィン・ターによる文献研究では、複数の実験結果が「ダンスや音楽にシンクロすることで対人関係の親密さが促進され、大規模な社会的グループを構築し維持する手段を提供する」ことを示唆しています※2。
環境問題を概念的・情緒的に考え、社会的な絆をつくる機会を提供したいという願いを込めて、コンテンポラリーダンサーである私と、東京のインディペンデントアーティストのためのコミュニティ「Millenials of Tokyo」は、環境の持続可能性をテーマにしたダンスイベントを開催しました。
ダンスショーの後は、観客が心の中で抱いている持続可能性の課題についてのワークショップが行われました。
パンデミック、気候危機、暴力、人種紛争などのニュースが絶え間なく流れ、私たちは簡単に圧倒され、私たちの世界の捉え方を形成してしまいます。ダンスと音楽は、後ろ向きな姿勢から私たちを守り、人間性を信じながら地球規模の問題に取り組むために、人間としての結束を強めるツールになるかもしれません。
マドリードのIE学生クラブと協力して、今後数ヶ月のうちに別のイベントを開催する予定です。気候変動や社会正義、生物多様性や土着文化の保護に取り組む情熱を持っているアーティストの方がいらっしゃれば、ぜひ気軽に私に連絡してください。
※1 Abrahm Lustgarten, “THE GREAT CLIMATE MIGRATION”, July 23, 2020, The New York Times Magazine.
https://www.nytimes.com/interactive/2020/07/23/magazine/climate-migration.html
※2 Bronwyn Tarr, ” Social Bonding Through Dance and ‘Musiking’ “, University of Oxford.
https://www.researchgate.net/publication/315703111_Social_Bonding_Through_Dance_and_%27Musiking%27
出演者・クレジット
小島陽子|プロデューサー/ダンサー/振付師
松尾清子|ダンサー・振付家
バティスト・タヴェルニエ|シンギングボウル
リチャード・リー|写真・照明
ジョン・甘利|写真
ドン・ウィガン|動画・編集
音楽|カサ by カダン、インフラ1 by マックス・リヒター